―― 数年前/カーライル王国・聖霊術師の庵 ――
[嗚呼、流石に負けたみたいだ。家に被害が無くてよかった。
流れた血で赤く汚れた雪に倒れながら、アマネ・カザミヤは独りごちていた。
此処数日不吉な予感に身の毛がざわついていた。第六感が常人より強いらしい聖霊術師の直感はアテになると言う実験結果を身を以って再認識しながら、修行と言う無茶振りで王都に弟を追いやり正解だと、骨も折れた負傷で尚、彼は笑っていた。
レガリヤを狙い現れたろう聖都の特務機関は正直敵ではない。もしレガリヤを直接持ち出して来なければ。アマネはそう確信した穏やかな笑みで戦いに臨んだのだが蓋を開ければ結果は逆だ>>395。
瞳を窺わせない赤衣の女。唯の特務機関の構成員だろうに、数の利を最大限に活かし、此方が最も嫌がる行動を的確に察知する観察眼。見た目だけなら、神秘的で麗しい乙女だろうに。近い将来、叩き上がりそうな典型例だ]
(420) 2014/08/15(Fri) 06時頃