[旅立ちの前日、ごめんなさいと私に言った少女がいた。
おめでたい日なのに何を謝ることがあるのかと
私は不思議に思ったけれど、少女がその日一日の断片を
謝る理由を私に話してくれたから、
私はそっとその頭をいつものように撫でた。>>385
一人で木に登ったのは、私にとって寂しいこと、
でも、それだけ悲しいことがきっとシルクにはあったのだ。
木の上にいる君を見つけて受け止めることが
できなかったのは私が君の泣いてしまう出来事に
気づいてあげられなかったことを私もシルクに謝ろう。
これからはもう見守ることはできないけれど
この先ずっとシルクと共に歩むせんせいがいてくれるのだと
食堂に並べられた食事の中にヘクターの作ったジャムを見て思い、
私は安心して、木の上から見ていた景色の向こうに旅立つ少女に
いってらっしゃいと伝えることができた。*]
(418) 2016/10/15(Sat) 13時頃