[本当なら祖母のメニュー通りジャガイモを練って湯がいた「クヌーデル」を作りたかったが、あれは少し手間がかかるので今回は断念。
じゃがバターとウィンナー、それにクラムチャウダーと麦のパンのメニューを乗せた二人分のプレートを手に、厨房と食堂を出て部屋へと戻る。
これならイアンを部屋で待たせずに、一緒に来ればよかっただろうか…。
湯気を立てる料理を見てそう思ったが。そもそも一人で部屋を出たのは、あのまま二人でいたら今の関係がなにか変ってしまいそうで。
沸き上がった衝動を冷ますためだったと思い出し、またひとつ溜息をつく。
食べて、食器を片づければスノーフェアリーを探しに出かけるには丁度いい時間だろう。
子供の頃一緒に食べた祖母の味にはまだまだ劣るが、懐かしい味に、イアンは喜んでくれるだろうか…。
そう思いながら、両手がふさがったままどうやって扉を開けるか悩むことになるのは数十秒後のことだった。**]
(415) 2015/11/22(Sun) 11時半頃