— 失われた回想・2 —
「マジックショーで、10億円を稼ぐこと」
「そうしたら、みんなを自由にしてあげよう」
[オトナたちから取り付けられた約束。
途方も無い金額を突き付けられてもなお、それに従う以外には何もなくて、
仮面をつけた子供たちは、毎日のように訓練に励んでいました。
お金のことはよく分からない子も多かったのですが、
こうして一座に身を引き取られるようになった子の、大抵の原因が、
親の借金や、お金に関するいざこざによるものだったので、
自然と「お金は命よりも大事なものなんだ」と思うようになっていきました。
また、公演でさせられるマジックの数々が、失敗すれば命に関わるようなものであり、
それに関して、オトナは一切の責任を取ってくれるどころか、
全ての歪みを子供たちに背負わせるということが、当たり前のように行われていたためでした。]
(414) 2017/06/18(Sun) 20時半頃