―回想・「ヤチグサ車」の中で―
……え? お、俺の家族、ですか?
[それはドライブの話題に移り、少し経った時分だろうか。
逆に振られた「家族」の話題>>388に、男は躊躇いの声をあげた。
特に、後ろ暗いことがあるわけではない。不意に訊ねられたこと、それ自体に、少々の戸惑いを抱いただけだ]
いえ……俺は、一人身ですから。
両親は健在ですが、住んでいるのは、ここから遠い地元です。
だから……。
[続いて呟かれた言葉。男にしかうかがい知れない台詞に、正面を向いたまま笑顔を繕う]
そんなこと、気にしなくっていいんです。
身軽な俺は、せめてサンテックスさんが無事にご家族にお会いできるよう、尽力するだけですよ。
ご家族の皆様も、サンテックスさんの無事をお祈りしているはずですから。
―回想・「ヤチグサ車」の中で・了―
(413) 2011/12/04(Sun) 22時半頃