― 旅立ちの日前日 ―
[明日はこのメンツで祝う最後の誕生日……俺は妖精さんへのプレゼントにするサンドイッチに使う具材を作業台に並べては一人満足げに尻尾を振っていた。
夜の帳も降りたころ……少女は皆寝静まったものだと思っていた。
だから、そっと厨房の戸が開いたら>>398ほんの少しびっくりしたと思う。]
おう、エリ。なんだ寝れねえのか?
……ああ、妖精さんへのプレゼントならちゃんと。
だって去年もそうやってお祝いしたもんなァ。
今年は貰えないってなったら、妖精さんはきっと悲しむだろう?
[同じことを考えていたことに少し微笑んで、手伝いたいと申し出てくれたなら卵をつぶすのを手伝ってもらったんだっけ。旅立ちの日を前に手に怪我でもさせたら、俺は俺を許せなくなると思ったから。
そしてこれが怖いものを打ち明けたら、卵が転げ落ちることにも細心の注意を払ってくれることをちゃんと知っていたから。]
(412) 2016/10/10(Mon) 23時頃