―午後のことか・生物学教室―
えぇと、このクラスは……。
そうでしたね。「抗体」について、からでした。
それでは資料の……枚目を開いてください。
[男の指定する資料には、Y字型の免疫グロブリン――――抗体のイラストが描かれている]
抗体というのは、脊椎動物の体内において防衛機構としての役割を担っています。
正体は、B細胞と呼ばれるリンパ球が生み出すたんぱく質なんですけどね。
B細胞は、体内に最近やウイルスが侵入してきたことを察すると、この抗体と呼ばれる分子を放出させます。
抗体は、ウイルスなどの侵入者――抗原と呼ぶんですが――と結びつき、結合体を形成するんです。
こうなると、しめたものですよ。
抗体自体が抗原を失活化させるタイプもありますが、その多くは抗原と結びつくことで白血球等の食細胞の目印となり自分ごと捕食させる、などの間接作用により、ウイルスなどを死滅させます。
この抗体の戦力しだいで、病気になることを未然に防いだり、そこまで至れなかったとしても、症状の進行を一定程度和らげたりすることができるんです。
いわゆる、免疫、というやつですよ。
心強いですね。
(401) 2011/11/30(Wed) 21時頃