[シャワーを浴び終わったジェニファーは、首にタオルを掛けたまま静まり返った雀荘の店内へと足を踏み入れる。]
御茶。
[コーヒーとお茶とどちらがいい?というマーチェの質問に、必要最低限の言葉のみで答えると、タオルで髪の毛の水気を拭いながらメイクポーチの中身をカウンターに広げる。
この雀荘が営業し始めるのは夕方近くから。今はマーチェとジェニファーの二人だけ。]
[古びたラジオから流れる陰気くさい声と、湯を沸かす音だけがやけに響いている。小型の鏡をカウンターに立てると、ジェニファーは大きなため息を着いた]
寝起きの私って、グロッキーよね。
[疲れ切った顔、化粧の施されていない顔には色濃い隈。
前髪を上げれば普段は見えない傷跡が二つ。一つは昔客に瓶を投げられた時についた傷。]
あ。ありがと。
[マーチェがカタン、とわざと大きな音を出して湯呑を置く。なんだかんだ、人が良いマーチェに苦笑いを浮かべると化粧に取り掛かった。]
(399) 2014/01/22(Wed) 18時半頃