―城下・広場―
[核を刺した刃は、どくり、と脈動した。
なにか熱いような感覚が、身体に浸透していく。
やがて異形が粒子となって崩れ落ちれば――
しゃがみこんで、その粒子の中に手を突っ込んでかき混ぜる。]
―――……、
あるはず、ないか。
[ヒルに似た小さな白い異形が、どこからともかくわらわらと這い出してきて――異形の花の血を、吸い尽くしていく。それは汚れを清めるように、そして]
[>>388 最初に聴こえたのは歌声だった。
歌う異形もいたけれど、その声が口にした問いは異形らしくはない]
悠長な、質問…… だね。
――……でも、似たような、もの かな。
[静まらない呼吸に言葉は途切れ途切れになる、
顔に散っただろう返り血をスカーフで拭って振り返った。
――壊れかけの世界に溶け込むような色のその長い髪が、風に靡いている]
(393) 2010/07/17(Sat) 21時頃