[鍵が開いた。>>350
一つの扉に、厳重についた二つの鍵。
その音を、男はベッドに凭れ、床の上に座ったまま迎えた。
コップと食事の隣でもある。
それらの近くにいれば飲んだ、或いは飲むつもりとでも思い
油断しないか、等とは浅はかな考えだ。
全く飲んでない上に飲む気もないが。
入って来た女が置いたものは二つ。
一つは硬質。一つはもう少し柔らかな物。
着替えと言うのだから替えの服、
風呂と言うのだからタオルは持って来ていそうだが。
やはり音だけでは判別できない。
脱がすと言われ、ビク、と足を揺らす。
生娘じゃあるまいに?
否、異常者の前で堂々と全裸になれる人間がいるのなら見てみたい。
揺れた拍子に、硝子片がじゃらりと鳴った。
女の視線もそちらへ移動した事を、今は気付けない。>>351]
(391) KNG 2018/12/18(Tue) 16時半頃