[俺は、感情の揺れ幅が少ない人間だと思っていた。
それが今、どくどくと脈打つ心臓を押さえながら、必死で多目的スペースから逃げ出している。
逃げなければいけない。あの声から。絶望から。
部屋を飛び出し、震える手でドアを閉めた。音はほとんど聞こえなくなった。それでも動悸はおさまらない。映像が目に焼きついて、音が耳に残って消えない。
離れなければ。一瞬でも早く、一歩でも遠いところに行かなければ。]
はあ、はあ、はあ、はあ……。
[背中に嫌な汗をびっしょりかいている。息苦しくて、一刻も早くこの場から離れたいのに足が動かない。
両手をひざについて、呼吸を整えようと、荒い息を吐き出した時、声が聞こえた>>388。]
――――!?
[みっともなく俺の肩は震えただろう。ドアは閉めたのに、声が追いかけてきたかと思った。でも、そうじゃなかった。
そこにいたのは、三神だった。**]
(389) 2017/09/22(Fri) 15時半頃