―幕間・半年前―
[僕は、気まぐれな存在は嫌いでは無い。
書斎か客間か、それとも居間か。
ふらりとやってくる存在の為に、どの部屋もほんの少しだけ窓を開けている。
変人の家へやってくるモノもまた、変わったモノであり。
のんびりと彼の声で響く己の愛称は、好きな部類に入っていた。>>376
それはある日の事。穏やかな日常でのこと。
脆い紙の塔が傍らで揺れながらも、そんな事を気にせずに過ごしていた時、だったか。
静かに語られる言葉の羅列を、静かに聴いていた。>>379
自我による自我の塗りつぶし。彼であって、彼でない何かの行動。
気まぐれな猫はその頭を撫でられる事は嫌がっただろうか。
人間は、彼のような症状の事をなんと言う名前で定義していただろうか。
果たしてそれを伝えて、彼の為になるのだろうか。
答えはきっと。]
(389) 2015/05/10(Sun) 23時半頃