[窓の外を見れば、吸血種の贄だったときの騒動を思わせるような暗い空で、まだ夜が明けてないことを知る。
それでももう一度寝る気は起きなくて、未明の空を眺めながらもそもそと珈琲を淹れた。
トーストを焼こう。バターもジャムも乗せないやつを。
それから、病人のようにすりおろしたリンゴをそれに添えて、泥みたいな生ぬるい珈琲を飲んでおこう。
多分、トーストは半分しか胃に収められないから、かじりかけのそれを皿に放置するだろう。
味気ない食事を摂ったあとは、ジェフが起きる前に外へ出る予定だ。いつものように。
分量を量り間違えた珈琲を温い湯で淹れながら、今日の自分の行動を頭に思い浮かべる。
そう、それから。
諜報員の一人に会って、情報収集して。
そうしたあとに、俺は相手に深刻な顔をして囁くだろう。そういつものように。
【ジェレミア副将が吸血種になったかもしれない】、と
あくまでも、不確定な噂として。
あくまでも、ただの疑念として。
囁いた言葉は、どこまでも大きくなるように計算して]
(386) kaisanbutu 2014/02/11(Tue) 21時半頃