よし、……まだ、とめられていない。
[何年前かそもそも分からないほど年代物のガラパゴス携帯を取り出して、画面を見る。
最近は画面の液晶にも不具合が見られ、よくブラックアウトするが、それでもまだ使える。まだ頑張れる。むしろ頑張れ。
支払いが滞りがちな青年は気付けば、携帯が止められていることもしばしば。止められていないことの方が奇跡に近い。
一人暮らしの自宅に固定電話もないから、携帯がライフラインではある。
むろん、料金最低プランかつ受信専門の用途しか持っていない。
鞄の中から、1枚の履歴書を取り出す。バイトを掛け持つことが常の苦学生にとって、履歴書は必須アイテム。
「アルバイトを希望します。宜しくお願いします。エリアス・クライム(連絡先:***-***-***)」とメモに書き、連絡先も付け加える。
かじかんだ手だから、多少筆跡は震えていたが、誠意くらいは伝わるといい。
封筒に入れた後、雑貨屋の郵便受けに入れといた。]
あれ……?
[携帯が鞄にしまおうとしたところで、メールの受信>>383を告げる振動が伝わってくる。
内容を確認するために、かじかむ手で携帯を操作した。]
(385) 2013/12/07(Sat) 15時頃