――… 、……ッ
[大広間の喧騒が刹那、破裂音に支配される。
その瞬間、微睡の海から一気に意識が引き上げられた。
何時しか増えていた餌に対し、トレイルが愛銃を発砲したらしい。
横たえていた身を緩慢に起こし、彼等の様子をじっと見詰める。
新顔を庇ったのは、件の将校だった。
その奥、壁に凭れて身を崩すアランの姿が在った。
ヒトの修復は即座に元通り、というわけにはいかぬのだろう。
個体差はあれど、吸血種の治癒能力も似たようなもの、
けれどあの程度の負傷であれば、己の身であれば完治した筈で]
…不便な身体だねぇ
でも、学習能力が高いのは良い事だ
[トレイルの銃口から、身を挺してヒトを庇おうとしなかったこと、
それを賞賛する言葉は、アランにとっては罵倒されたようにも感じられるか。
尤も、男の言葉が彼まで届いたのか、知る由はなく]
(382) 2014/01/27(Mon) 01時半頃