―回想・ホラー映画の鑑賞会―
[洋風のおばけ屋敷の、雰囲気を掴むため。
芽耶の案を七尾が伝えに来た時、真っ先に思ったのは先生に怒られないかな、という不安だった]
い、いいのかな?
文化祭の準備の一環なら、先生たちも問題にしないかな……。
[ジェニファー先生は映画観賞を大らかに許してくれそうだけれど、生徒指導部の豊田先生はそういうのに煩い方だ。
もし見つかったら、という警戒で、恵冬は身を固くする。
それでも、皆で映画鑑賞、という響きは恵冬にとって抗いがたいくらい魅力的だった。
母は恵冬が友達を家に連れ込むことを嫌がるし、いつもお邪魔するばかりなのが申し訳なくて、恵冬も友達の家に遊びに行く事がいつしかすっかりなくなっていた。
だから、皆で、なんて賑やかそうなイメージも、その輪の中に入れる事も、嬉しくてたまらない。
DVDをレンタルするという習慣もあまりない恵冬にとっては、文字で描かれる『恐怖感』が、どう映像で現されているのかも興味を惹かれるところだった]
(381) 2015/06/19(Fri) 22時半頃