[そんなことよりも、喜ばしかったのは、あらたくんが、雛子の小さなつぶやきを、さして気に止めていなかった、ということです。ほっとしました。まだ、あの頃を思い出すと、胸がぎゅっと締め付けられるよーになる雛子は。同時に、思うのです。あらたくんにとって、あの小学校時代は、ふつうで、ふつうに楽しくて、思い出すたびに、胸が苦しくなるよーな、そんなものでは、なかったのです。……そんなことを考えていると、あらたくんの顔、直視できなくて、ふい、と顔を逸らして。*]
(380) 2015/11/04(Wed) 22時半頃