——回想——
[組織に助けられた一般人が捨てた子が自分だった。
幼少時は引き取ったと言われていたが、事実は調べれば簡単に分かった。陵辱されて子を置いてビルから飛び降りたのだ。
名前までは付けて、それでも無理矢理孕まされた異形を愛せず、けれどただ道端に捨てることも出来ずに預けて身を投げた。
そんな複雑な感情は、未だによく分からない]
[ただ一つ確かなのは、自分の居場所は組織にしかない、ということだった。
純血であれば容易であろう人間への擬態も、ハーフではどうしても耳を隠せなかった。
幼い頃は尻尾も隠せず、帽子を被ることすら違和感があり、街も出歩けなかった。
組織だけが世界のすべてで自分だった。
だから、そこにいる者はすべて家族で、守るべきものなのだ]
しねえよ馬鹿。
あいつ、お前の大事な相棒なんだろ。早く見つけるぞ。
[>>252反発を受けていた亀吉を助けたのも、そんな理由だった。
組織の中では半妖は珍しくなくとも、差別は容易に起こる。暴力に至らなければ可愛い方だったから、特に気にしていなかった]
(380) 2016/06/05(Sun) 23時半頃