―― 夜・大学 ――
お疲れ様でーす。
[その後調子を上げたり崩したり、ジェットコースターのようにテンションを上げ下げした彼は、なんとか一つの論文を纏め上げ教授に及第点をもらうことができた。
今日一日でクリーニングに出さなければならなくなったロングジャケットを羽織り、駆けずり回ってくたくたになった足を動かし、なんとか帰宅の徒を辿る。
その途中、閉まった大学の食堂前を通った。]
そういや、冬物のコートが出てきたな。
[それは、ルイ・バルザックが着用していたコート。
もう着ないからと封印してあるが、たまに仕舞い忘れたものがクローゼットからひょっこりでてくる。
そこから思い出すのは、線の細い青年のことだった。]
……エリアス、なにしてんのかな。
[大学構内でふらふらしているのを、お節介ながら捕まえて介抱したことがある。]
(376) 2013/12/07(Sat) 14時半頃