[指で小動物の丸みを描いて、差し入れるのは緑の長い葉二枚。
赤い瞳は南天の実、ふっくらとした雪兎が生まれて、音もなく喉を揺らした。
自分は何をしているのかと自問する。
答えは見つからないが、今から探しても遅くない。
可愛らしい雪兎の隣に、丸く握った雪玉を追加。
最初は一つだけ。温情と言う奴だ。一方的なのはフェアでない。
何十年も前に彼を外に誘った雪玉が、時を越えてまた誘惑する。
老人扱いする癖、童心に返るを誘う存在。
仮定の話は最早する必要がない。
精々、嫌いなことをせずに、生きれば良い。
空も飛べない、霧にもなれない、素直にも出来ていない。
―――そんな、男は雪兎で彼を窓辺に誘い出す。
彼が顔を覗かせた瞬間、パサとぶつける心算の雪玉を、何時までも右手で玩びながら。**]
(368) momoten 2014/02/11(Tue) 20時半頃