―回想・「ヤチグサ車」の中・スーパーへの道筋―
[男はただ、車を前に進めていく。
感染者達に道を塞がれていても、ただ、ひたすらに前進する。
頑強な白いワゴンは彼らの障壁をものともせず、無情に屍を吹き飛ばし、踏み潰す。
衝撃は、振動は、その度に内部に伝わり、白いボディは男と違わず、朱の色へと染まっていく]
……………………。
[できれば、こんな乱雑な手段はとりたくなかった。せめて、『確実な安眠』に至る手をとってやりたかった。
しかし、それは叶わない。今は、コーネリアを無事に現場へと送り届ける。
それが、最優先なのだから]
……高橋ラルフ虎太郎さんですね。
申し訳ないのですが、昨夜以来、お会いしておりません。
[聞かれた問い>>336の答えると、返ってくるのは短い返事。高橋の姿を思い浮かべ、「お友達だったのですか?」と問い返したが、返答があったかどうかは分からない。
多くの命が失われた。安否を願い相手は、その数だけコーネリアにもあるはずだ。
本当に、多数の犠牲が払われたのだ。前方に感染者――――ここまで逃げ出し襲われたのだろうか、学園の女生徒の名残を見つけ、奥歯をぐっと噛みしめた]
(367) 2011/12/04(Sun) 17時半頃