[いつも落ち着いた、みなから親しまれる兄のような人。
初めてベネットを見た時の印象は、彼と実際に話すようになってからも然程、変わらないものだった。
一人娘である自身には兄妹は居らず、だからこそ弟妹の多い彼と話してみたかったのかもしれない。
ただ、その想いは彼に色々なものを教わる内に、少しだけ形を変えたけれど。
たくさんの弟妹が居る彼からすれば、妹が一人増えたようなものかもしれない。
そう自身に言い聞かせる。
そのことを少し寂しく思ってしまうのは何故だろう。
答えは見つからない侭で、そんな察しの悪さから、彼の僅かな機微にも気づけない。>>326
ただ、思いもよらない感謝の言葉には、ぱっと顔を上げた。
嬉しさに思いつく言葉は見つからなかったけれど、微笑みを見ればそれは確かなものだと分かって。
ふわりと、笑みを返すだけで精一杯だった。]
(366) 2015/05/10(Sun) 22時半頃