誰がするかよ
[と、俺は苦い顔をする。
世の中に糞男は星の数ほどいるので、洋次郎もそういう類の人間にあっていてもおかしくないが、一瞬開いた空白の意味を理解できないまま、「記念撮影とかまじむり」とそれだけを伝えた。
――背中を軽く小突かれれば、へ、とあざわらってやり、お前を後ろに乗せるだろう。
人が少ない路を走っている。時折はやむを得ず大通りの傍を過ぎることもあったが、大体は野良犬がそうするように、人目につかない道から道へと。
やけに大人しいな、と思いながら、俺は背後のお前を見ずにいた。
急な誘いに応えるために家を飛び出し、ジャケットを着るのを忘れていたからか、それとも安住とは身長そのものが違うからか、いつもと勝手が違うので少し緊張している。肌を撫でる風も、後ろに乗るヤツとの距離も、なんだか少しだけ近いような気がしている。]
(366) さねきち 2018/10/23(Tue) 08時半頃