[何故か泣き出しそうな目でこちらを見詰めてくる少女に(>>351)、急にしおらしくなったな、と思うと同時。
なんでもない、などといったところで「嘘です、目を見ればわかります!」と身を乗り出して言われそうな予感がして。正直に話すことにした。]
父は…もうこの世にはいないんだ。何年も前に――吸血鬼の手に掛かって死んでしまった。
その時が、ぼくの初めての狩りになったんだけれど……上手くいかなくてね。
だからずっとハンターをやめたかった。
おかしな話だろう、ハンターとして生まれてきたのに…
[ぽつぽつと漏れる言葉は、どこか他人事のような響きで。
不意に銀の靴の踵同士がぶつかって、高い音を立てた。
はっとする。こんな幼い子供に何を話しているんだぼくは…
こんな話をしてごめんね、と少女に詫びた。]
(363) 2014/11/06(Thu) 23時頃