―回想・文化祭準備はじめ―
ホラー映画……!?
[その言葉に、しずくは震えあがった。おばけだったり虫だったり、女子の苦手なものは須らく苦手だ。夜中にひとりで二階へ上がるのが怖くて、兄をわざわざ携帯で呼び出して、一緒に上がってもらった事もある。
兄は、ぶつぶつ文句を言いながらも優しく肩を抱き寄せてくれたっけ。
何にせよ、おばけなんて怖い。むり。絶対。
でもそれを口に出してしまうと楽しそうにしている皆の雰囲気を悪くしてしまいそうで、…は真っ青な顔で皆とDVDを見ることになる。
結果、DVDが終わると同時に貧血で倒れた…は、保健室で連れてきてくれた友人に平謝りすることになった。今となっては、いい思い出だ。
この時、しずくは幽霊が怖かった。生命のないもの、得体の知れないもの、あの世の住人。それはとても、恐ろしいものに思えていたのだ。*]
(360) 2015/06/19(Fri) 21時半頃