―回想・2年程前、小川の傍―
だ、……れが!!怖がって、……い、るって!?
だれ、……が謝るか!
[涙を舐める彼から嫌そうに顔を背け、先ほどよりもなめらかな口調で言葉だけは虚勢を張る。すがるように彼の腕に置いていた手を持ち上げ、胸に置くが、おしのける力はない。>>337
ここで、自分の身に起こっている不可解な出来事にようやく気付いた。
例え、大腿の傷が癒えたとしても、失った血液はそう簡単には戻らない筈だ。なのに、背中に印された逆十時の傷から浸食してくるナニカが、血を作れと身体に命じているようだ。普通では考えられもしない速さで、力が戻ってくる。と、言っても、手を重力に逆らってなんとか動かせる程度、位ではあるが。
だから、彼の手の侵攻を阻む力はなく、下肢が力を持っていることがばれれば、羞恥から更に顔を背ける。けれど、それで彼が許してくれるはずもなく容易に下肢を弄ばれてしまう。>>338]
(358) 2014/01/31(Fri) 00時半頃