―教室前・廊下にて―
[>>330後ろからかけられた声に、少しびくっとしながら振り返る。突然かけられた声に少しだけ驚いた。しかしその声の主が水瀬のものとわかると、すぐにほっとしながら笑顔を返した。]
恵冬ちゃん、おはよう。
私もみんなと会うまで怖かった。なんか不思議な感じだよね。
[そう言って笑いかけたと同時に手をぎゅっと握られ、わぁと小さく驚きの声をあげた。そうしてすぐに、ぎゅ、ぎゅ、と控えめに握り返してみる。遠慮がちな親愛の証として。
水瀬は駒鳥と違って、もう少し自分に近い存在な気がする。時間をうまく使えていなくて、運動神経もあまりよくない。校庭で走る姿より、窓辺で物語を読んでいるのが似合う文学少女。親近感、という言葉が、とても近い。一緒にいると、「あ、それ、わかるなぁ」と思わず共感することが沢山あって。そんな小さい事でも共有できるのがうれしくて、一番、素の自分でいられる相手だった。
怖いけど、ちょっと楽しい。そんな気持ちまで少し似ていて、…は水瀬の言葉に嬉しくなった。]
(358) 2015/06/19(Fri) 21時半頃