……なんにも学びやしませんよ。僕にはなんの価値もない。身の回りの環境なんか変わっちゃいないんだ。
[ステージを終えた後の拍手喝采だとか、そういうものは嬉しかった。でも結局のところ、ピアニストなんて身分は低いものだから。過去の宴会みたいに自分との夜を求める女だとか、実力のみをたたえる奴らだとか、そういうものしか見えなかった。
(僕は色恋営業をしているわけじゃあないのに。)
やはり居心地が良かったのは、彼女の隣しかなくて。
笑みを浮かべた彼の言葉に、軽く眉間に皺を寄せ。]
……好きに言えばいいでしょう。僕が人間になることなんて、有り得ないのだから。
[犬は牙を向く。変化が起こるか否か。それはまだ不明な話。
目を薄めに閉じかけ、身を翻した彼を無言で見送り。こちらも素早く反対側へと歩を進める。
そう、まだ聞きたいことがあるのだ。別の人>>219に。素早く屋敷内に入り、彼女の影を探して歩くだろう]*
(356) 2016/07/28(Thu) 23時半頃