[徐々に頭を支配するアムネシア内の音が、波が引くように小さくなり、押しやられていた睡魔が顔を出す。]
……ふぁ……不思議。
子守歌耐久じゃ絶対眠れないと思ったのに、
……眠い、や。
[彼の歌唱力云々の問題ではなく、頭を支配する音のせいで。
もそりと毛布の中に更に入りこみ、重くなった瞼を瞬かせてシュウルゥの方を見る。]
借り、二つだね。僕に出来ることなら、今度聞くよ。
ちゃんと請求してね。
……あんたが、
あんたが望む優しい微睡みの中にいられ、ます、……ように。
おやすみ、シュウルゥ、また、…明日。
[心だけは人でありたいという願いがかなえられますよう、
眠りに落ちる前にそれだけを告げて、意識はストンと闇に落ちた。
明日既に彼がアムネシアに投獄されてしまうなど、つゆとも思わず。
たたき起こされるまで、もしくは無慈悲な声がアムネシア内の者の正体を告げるまで、起きることはないだろう。*]
(352) 2014/02/04(Tue) 00時半頃