[もう一度目を通して。
ふ、と笑んで、あえて何も返さないで端末を仕舞う。]
……僕だって、たまには心配するんですよ
[そんな声は、凪いだ風が聞くばかり。
ふと、辺りを検分するように歩いていれば、惹かれるように辿り着いたのは人を寄せ付けがたい雰囲気を放つ、赤茶けた扉。
見上げれば、随分と古びた建物だ。
元の街でも、こちらの方までは訪れたことは無かった。その錆びた門の取っ手を握ろうとした所で、再び電子音。今度は本文のない、件名だけのものだった。]
………?
[急いでいたのだろうか。
少し首を傾げると、それには返信を返してから廃墟の扉を開ける。案外見た目に反して軽さを帯びた扉はギィ、と音を立てて道を開ける。
ツン、と火薬のような臭いが鼻をつく。一度目を細めた後、怪訝そうな顔をすれば警戒して中に入る。戦闘の気配があれば、身を顰めるつもりで。>>315階段の方に、知人の兄が居るとはまだ気付かない。]
(351) 2014/12/09(Tue) 17時半頃