探索……? いや、今の所誰と…、も。
[そうしていれば、少しの間ぼんやりとしてしまっていたらしい。
少しだけ強まった貴方の手の力にハッとすれば、自然と下がっていっていた視線を再び貴方の方へと向ける。
僅かに震える貴方の声に、また冷えてきたのかとギクリとしつつ。
……またそれ以上に、貴方のその言葉に、不相応な期待を禁じ得ずに。]
…………、
[そしてその期待は、叶えられた。叶えられて、しまった。
先の部屋の話といい、今のこの話といい。まさかこれは、長い長い夢なのではないか、なんて。
現実の俺はまだ、実は事務所に向かうバスの中で。この誘いに頷いたところで目が覚めて、がっかりするのでは無いだろうかと。
そう一瞬夢なのだろうかと疑いつつも、手の中の貴方の指先の温度に現実なのだと息を呑み。
"喜んで"、その一言がどうしても口から出てきてくれなくて、一度二度と口をはくりと開かせては、閉じた。]
(349) 2015/11/22(Sun) 00時頃