………、でも随分、血の気が戻ってきた。
[仄かに血の通い始めた貴方の頬を眺めながら、吐く息は安堵じみたものを。
勿論、安堵しているのは事実だとも。けれどそれにかこつけて、貴方の容態を心配するふりをして。
その白い肌だとか、薄い金の髪の先だとか。俺とは全く違う、その瞳の色だとか……そこに映る、風景だとか。
そんなもの達を眺めては、一人悦に浸っているだなんて――あぁ、我ながら気持ち悪くて絶対に貴方には知られたく無い。
握った手は、鬱陶しいだとか気持ち悪いだとか思われはしないだろうかと。
そう心配したものだが、貴方の一言>>271を聞けばその不安も半分以上は薄れてくれた。
――けれど、それはきっと貴方が俺の気持ちを知らないから。
純粋な心配だけではなく、邪な下心も握る手が孕んでいると知れば、貴方はきっとその手を振り払ってしまうんだろう。]
(347) 2015/11/22(Sun) 00時頃