[最初こそニュースのこともあり言葉少なだったが、酒を持ち出してグラスに注ぎ、互いに杯を進めていけば、いつものように穏やかな会話を交わすことができた。それは、明るい話題を選ぼうとする自分を察し、合わせてくれたティムの気遣いがあってこそだったのかもしれないが。
最後には、朝にキッチンで見かけた小箱を食卓にことりと置いて、その蓋を開けもした]
……明日は休み、だからな。
[笑顔で食べてくれることを期待し、封を開けたチョコレートをティムの方へ軽く押す。彼が食べたのを確認すれば、自分も一粒つまんで、口に含む。
そうか、こんな味だったのか――
あの時は包も開けずに捨ててしまったから、半年越しにようやく知ることが出来た。
その後、幾らか話をすれば、どちらからともなくそろそろ眠ろうと席を立つだろう。その際、いつも通りソファあたりを借りて眠ると言うなら、別段、それを止めはしない]*
(347) 2019/11/07(Thu) 06時半頃