でも、俺が手袋を借りたから貴方の手がこうも冷えてしまったのは事実でしょう。
……暖かい飲み物かカイロでもあれば良かったけど、今は何も、…無いから。
["だから、ごめん"、と。
戸惑う貴方>>269には軽く目を伏せ、申し訳なさげに俯いて見せた。
――"役得"、そう思っていないと言えば、嘘になる。
否、大いにそう思っているとも。中々苦しくはあるが、それでも貴方に触れる口実が出来た、と。
人との距離とか、関わりとか。そう言ったものは特に好きでも無いし、何より得意では無い方だ。
けれど、心を許した相手に触れるのも、触れられるのも。嫌いじゃあないというか、むしろ好きな方。
だからどうにもこうして口実を見つけては、触れようとしてしまうのは悪い癖だと自覚はしている。
……彼に関しては、心を許しているというだけでは無いけれど。
貴方の指先を握る手は、貴方に体温を分けている筈なのに。
手のひらの温度は一向に下がらないのは、何故だろう。
貴方ほどは白く無い肌は、登った血もきっと隠してくれていると思いたい――緊張と、羞恥と。それらで頭痛がする程に頭が熱を持っているだなんて、貴方に悟られてなるものか。]
(346) 2015/11/22(Sun) 00時頃