[リツの言う通り彼が一度死に、かりそめの命を与えられているならば。今の彼は亡霊のようなものだ。命を与える代わりにこんな触手の慰み者としているとしたら――それは死者への冒涜にも等しい。天国にも地獄にも行けずに、生と性に縛られて。五年もの間、弟は、そうやって嬲られ続けてきたというのか。ぎちぎちと節のある触手が顔を持ち上げ、涙に濡れそぼった表情を目の当たりにした瞬間。]……、――――!![憎悪という言葉でもまだ生温いようなマグマが、腹の中へとこみ上げる。]……ぅ、あああああああああアアアアッ!!![咆哮をあげる喉が、四肢が熱い。怒りと言うひとつの感情に結集した魔力が、炎となって噴きあがろうとする。が、]
(346) 2016/06/05(Sun) 21時半頃