[不幸中の幸いだったのでしょうか。
空き部屋の黒板にびっしりと埋め尽くすように目の絵が描かれていること>>15ことに気付かなかったことは。
美術準備室に入る前は剣呑な色さえ見せて理一を見ていた私も、すっかり毒気が抜かれてしまったような穏やかな表情をしていたことでしょう]
うん。そうだね。
ささらちゃん、ちゃんと笑っててよかった。
無理したりとか、そういう風な笑顔には見えなかったから。
帰るのが正解……か。
じゃあ、帰れない私たちは何なんだろうね。
[ぽそりと呟きながらも校舎にふんわりと漂う甘い匂い、それにも私はようやっと意識が傾いて。
那由多と蝶美に任せてしまったことが気にはなりましたが、私が今出向いてもやれることはきっとないと思います。
だから、話の続きはそこでいいかな、と思った私は頷いて二人揃って家庭科室に向かったでしょう]*
(345) 2017/03/15(Wed) 23時半頃