―図書館
[ホレイショと昼食を共にできたか、できなかったのであれば後で訪ねようか等と思いながら。満たされたお腹をさすると持ち場に戻る。
確かこの時間チアキ先輩は授業だったはずだから、彼も、彼目当ての生徒も来ないとなれば来客は少ないだろう。
…過去の自分のようなサボり魔が居れば話は別だが。
ルーカスの兄…。
図書館によく通うようになって行方不明、と聞いた。
何万回と訪れたか知れないあの人が消えた本棚の間で、頭の上まで陳列された本達をぼんやりと見上げる。
降り注ぐのは、少し萎びた紙の香りだけ。
ゆっくりと目線を落とせば
棚の終わりの、その向こう。
重々しく錆びた…鉛の扉。
前任から、資料室とだけ聞いた事を思い出す。
触れた事もなかった扉…どうして今まで忘れていたのだろう。
何か不思議な力でそこの記憶にだけ靄がかけられていたような、そんな感覚。]
(342) 2014/06/20(Fri) 11時頃