―幽霊屋敷への道のり―
[閉じた空間は苦手だ。
開けられない窓を見て、その向こう側の怪物の姿を見る。走る車からはじっくり観察出来ないが、やはり人間とはかけ離れているように思える。ルームミラー越しに、感染の疑いがあると言った教師に視線を移した。
これから向かう場所にいる、生存者も。感染の疑いがあるのだろうか。むしろ自分は感染してるのだろうか。]
[鞄の中でカッターナイフを逆手に持ち替えた]
……センセ、 オケ部員のタカハシって人見なかった?
[否定の返事があるなら、そう、と短く返した。カッターを握る指に力が籠もる。
スーパーに寄ってもらえるなら。車から離れた場所で、うろつくゾンビ達に苦しげな視線を向けつつ、カート同士を派手にぶつけた。うるさい衝撃の音と、それ以上にうるさい気がする自分の呼吸。あまり時間を稼げないのを申し訳なく思いつつ、その場を離れた。
引きつけているうちに教師は必要そうなものを集めてくれただろうか。日持ちしそうなものを持ち出す手伝いをして、店を離れる]
強盗みたい
[そう零した口許は非日常の中で歪む]
(336) 2011/12/04(Sun) 13時半頃