[トロトロと雄蕊を模す腹から垂れる淫液。
己と同質のものとは言え、彼にとっては蟲だ。
持ち上げた靴先で唇に触れ、首を傾けて見下ろす。
喜色を隠す双眸が、輝き、彼から目を逸らさずに、唇だけが小さく、お仕置きだ。と愉しげに呟いた。
その途端、彼の尻に向かう黒蜂の腹。
膨らんだパンのように柔軟に形を変える癖、分厚いゴム如き皮膚に覆われている為、彼の身体に負担を掛けずにズッ、と侵入。
彼に腰を高く持ち上げさせる細い六本の足。
犬のように這い蹲り、蟲の腹が出入りする。
強い摩擦を生み出しながら、彼が締め付けるだけで形を崩し、相手の腹の中に蜜を搾り出す。
人の体液よりも量の多いそれに混じる己の血の気配。
相当薄められているお蔭で、彼の意識には嫌悪を残したまま、やがては蜂の腹に、愉悦を見出し始めるだろうか。
己はソレを、ジッと見ていた。*]
(327) momoten 2014/02/11(Tue) 08時頃