[くぁ…と猫のような欠伸をもう一つ。
凝り固まった体をほぐすように動かしながら、客間の方へと向かう。
一人で暮らすには大きすぎる家。
事実、家に備わっている部屋数は両手を使わなければいけない程だが、実際に使っているのは片手で足りるほど。
眠気覚ましに、と飲み物を淹れようとした所で耳に届いたのは窓を軽く叩く音。>>315
それに誘われるそうに窓際へと向かえば、柔らかな声が聞こえてくる。
がらり、とその隔たりを取っ払えばにこりと笑みを浮かべた。その傍には、青年の姿はあっただろうか。]
やぁマーゴット。変わりないかい?
良かったら……
[上がっていかないかと声をかけようとした所で思い出す。
我が家は人をあげられる程度に片付いている時と、散乱していてとても人様に見せられたような状況では無い時がある、と。
そして今現在の状況は後者である事を。
一度出かかった言葉を飲み込み、曖昧な笑みを浮かべ眼鏡のズレをなおしたのだった。]
(327) 2015/05/10(Sun) 21時頃