[択ばれた経緯を知りはしないが尋ねもしない。話せない部分に触れてしまう気がして、次第に聞くだけでは無く話し始めた彼が上手く濁してくれるか微妙な気がする、なんて、失礼な事を思う。
深く問い詰められたら彼自身困るだろう言葉を既に幾つもぽろぽろ零している、気がして]
おやおや、選び方も大雑把になったものだなァ。
[けれど特に指摘するでもなく、そんな言葉で茶を濁す。
信用されているのか、油断されているのか…、何とも微妙な所で複雑そうに小さく零す乾いた笑み。
言葉遊びと指摘されても否定はしない。
呑気に笑い返して、言葉遊びは嫌いかい?と問いを重ねただけで]
獣が襲うのは何時も行商の足だけだ、荷を奪う為に人を襲い殺すのは何時だって人だよ。
我らが化け物ならば、人を飼い弄び嬲り殺すこの国の貴族連中だって化け物だろう。
人間達は、吸血種を化け物である、悪であると迫害する事で、人間を、自分達を、正当化したいだけじゃないと、果たして本当に言い切れるかな?
[林檎の兎がくりぬかれた虚ろな眼でで問いかける。
逡巡した、続きの言葉。
溜息を一つ零して声を潜めた、笑みを消した真面目な顔で]
(325) 2014/02/01(Sat) 23時半頃