[……食堂を出る時に、ふと三本フォークが目に止まる。食堂の名前になっている、今まで食べた少女の数だけの銀のフォークを一つ一つなぞっていく。一番左が一番古い。初めて食べることを教えてくれたマリアンヌ。真ん中は少し錆が浮いている。沢山遊んでくれたゾーイ。……新しい子は、果たしてどんな子だったのか。俺に生命を与えてくれて、そのまま俺の中に何一つ思い出を残さず行ってしまった。ここに、四本目が加わる。そんな時が来てしまった。彼女は俺の力をどう使うんだろう。旅の先で俺の話をしたとして、彼女はどう変わってしまうのだろう。不安は少し丸まった尻尾に隠して。俺は食堂の戸をしっかり閉じて、俺の契約主のところへ行こうとする。]**
(325) 2016/10/15(Sat) 00時半頃