>>317
なんだ、じゃあ病人か?
[こちらを向いた、どこか強気な双眸。──自身を確と見詰めた訳でもなく外された視線の、しかしその色にはやはり覚えがあった。脳髄がもどかしく焦れたような感覚、眉寄せたまま僅か、顎を傾けて]
……、アンタ、どう見ても女だよな。
[継いだ声も、己にとってはふざけた訳ではなかったのだけれども。女の顔がこれ程気に掛かる──その事自体が、普段女性の顔に美醜以外の感想を抱かぬ自身にとっては意外さを呼び、彼女への人としての興味に変わった。ふらつく足取りに、「危っねェなあ」と、興味の深さと共にやや弛んだ一声を背から投げて]
そんなんじゃァ、化け物になっちまうのも時間の問題だぜ?
…トレイル・トイ。覚えはねェか?
[少女がそのまま去ろうと言うなら引き留めるまでの義理もない。だが、興の引かれる事へ多少の気まぐれを起こす事は嫌いではなかった。問いを継いだのと共に、彼女の傍へと緩と大股に足を寄せ、叶えば一度横からその顔を覗き込もうとしていた。じっくり、瞳を確かめ、探るような視線で。彼女がもし拳でも出せば当たりそうな程の位置]
──悪くねェ顔だ。女にしちゃァな。…どっかで見たんだよなァ。
(324) 2013/07/22(Mon) 19時頃