[一口飲んだきり、動く事のないカップに気付けば、おや好みじゃないか、なんて呑気に笑っただろう。眉を顰める彼に微笑み掛けて先を促せば、思いの外しっかりと帰ってくる返答。
己の手を貸す事なんてもう、無いじゃないか、ほんの少し残念に思ったけれど、同時、己の手に負えそうな細やかな悩みで良かったと安堵を覚える。
否、…これは悩みでは無く、迷い、か。]
おや、なんだ…もう決まって居るんじゃないか。
そうか……キミも居なくなるか。
ふむ、寂しくなるね。
判らない事はこれから知れば良い。
此処に居たくないなら、無理に居る必要ももうない。
さて、キミは何を迷って居るんだい?
[知らぬ感情に、想像もしなかった未だ見ぬ未来に戸惑っているのかと、気付けば微笑ましさに滲む口元の笑みはカップで隠しておこうか。
寂しくなる、殊更軽い口調で言ったけれど、其処こそが己の本心だ。
けれど引き留める気はない、引き留めてはいけない。
択ぶのは彼自身、彼はやっと自由に気付いたのだから]
(323) yahiro 2014/02/11(Tue) 08時頃