―Xday-1day・PM4:00・現実世界・某私立高校―
[ホームルームが終了し、諸々の仕事を慌しく終わらせて席を立ち上がった拍子に黒い髪が揺れた。
足速に教室を出ようとした所へ数少ない友人から放課後の誘いを受けるものの、脚を止めて困ったように笑って緩やかに首を横に振る。
『彼氏とデート?』などと、交友関係を把握している癖にからかい目的で言葉をかけられると、ほんの少しだけ拗ねたように唇を尖らせる。
けれど、次の瞬間には表情を緩めて、ポケットからメモとカラーボールペンを取り出して手元でさらさらと手早く書き付けて、友人へ良く見えるように差し出して]
『ないしょ!』
[満面の笑みと共に向けた一文に追求の言葉をかわすように教室の扉を潜り。
『明日教えなさいよね!』と、投げられる声に柔らかい笑顔と手を振る事で応える。
――明日。
ひっそりと笑みを深めて、帰路へとついた。]
(323) 2014/03/14(Fri) 01時半頃