―5月1日 午後8時過ぎ 栃の木通り→繁華街・寂れた酒場―
>>314
[僅かながら爪跡を残された手の甲を片眉寄せて擦り]
ヒデェな、愛しい密会相手に。…、
[言ってから、そこばかりは己自身でも何か嫌になった様に自分の言葉に思わず顔を顰め。相手が頼む注文内容、聞く己はわかっていて敢えて口出ししない。期待できない店なのは、ナユタとてわかっていただろうと。最早嫌がらせとも、己の知らず溜まった疲れ故の気力の薄さからくるともつかない少しの無言で注文への肯定とし。座した位置はナユタから見てやや斜めになる対面、脚を開き肘付いた手に軽く頬杖をついて。ふと返された視線の色に、己もまた青年の表情を改めて、とっくりと眺めた。…一人の、祖父母思いの青年の顔を]
……、そうかよ。
この時勢だっつーのに、あの爺さんまだピンピンしてんのか、──元気すぎて何よりだわ。婆さんもな。あんな爺婆、…襲われりゃーひとたまりもねーだろうにな。
…。今更だ、どの面下げて。もう牛の糞に紛れる仕事はする気もねーぜ。
(322) 2013/07/22(Mon) 18時頃