[顔を合わせた途端から心臓が煩く鳴るのも慣れたこと。
いつか揶揄られた常套句に上手く返せず、羞恥で喉を唸らせてしまうのはきっと己の若さの所為。果たして彼のように躱せる時が来るのだろうか。>>4:114
適応力だけで言えば、己よりもずっと彼の方が高いのだ。
自身が上手い返しを覚えるより先に、彼の相槌の質が変化した。――― 否、分かり易くなったと言うべきか。
己の言葉は誠心誠意本心であるが、彼の照れる顔を見たい下心も勿論ある。>>320
麗しく、凛々しい立ち振る舞いに、己しか知らない可憐さが混ざる。
身体を繋げて以来……と言えば余りも現金な話だが、それまで見上げるだけだった彼を心情的にも近くに感じるようになった。彼だって余裕が失われる時もあれば、悪態を吐いて叱る時もある。不安から愛を乞う時だってあるのだ。
――――― そんなところがまた一段と、]
……かわいい。
[無意識に零れた喜色が、オリュースの風に攫われた。]
(322) momoten 2019/08/12(Mon) 16時頃