―回想:文化祭準備期間の放課後―
[脚本係なんてものは、一度書き上げてしまえばそう仕事はない。微妙な修正が必要な場合もあるだろうが、ちょこちょこ直してたら役者陣も大変だろ、なんて放り投げて、後は小道具や大道具を冷やかしたり、手伝ったり。
そんなある日のこと、だった。
あまり大きい声ではなかった、と思う。けれど、その言葉>>314に教室の空気が凍る。
確かに言われた女子は、仕事よりもスマホに夢中だったようだけれど。時々手伝いもしながらも、主に仕事をしていた連中を冷やかしてばかりだった自分までも責められた気がして居心地が悪くなる。]
……そこまで言わなくてもいいんじゃねーの
[その女子を、というよりも、自分を擁護するように呟いた言葉は、場の空気をもっと濁らせただろう。
気付くのが遅いけれど、鈍くはない慶太は、慌てて取り繕うように笑った。]
でも、急ぎの連絡じゃないなら後にした方がいいかもなー?やることやってからの方がほら、ゆっくり話せるだろ?
俺も手伝うし、志水、も……
[言い訳をするように、縋るように、投げかけた視線は、彼女に届いていただろうか。*]
(321) 2016/09/13(Tue) 13時半頃