[しずくに続いて教室へ入ってくる面々の中には恵冬もいただろうか。
いたならば、「日曜じゃなくて良かったね」と、いつかのドジをちょっとだけ茶化して声をかけてみただろう。
ふと、席についてスマートフォンを弄っていた桂一が、訝しむような声を上げた。>>291
続いた言葉に、首を傾げる。
「何が?」と問えば、彼はあっさりと答えてくれたか。
自分の携帯を取り出して、画面を確認する。]
ホントだー。俺のも、圏外。
[桂一のどこか面白がっている声に重ねるように、秋野も、緊迫感のない声で事実だけを告げる。
神隠し。心の中だけで、言葉を反芻した。
窓の外を見る。広がるのは、いつもと何ら変わりない風景だ。
窓の中も、人こそ少ないものの、いつもの教室。
その言葉は現実味がなく響いて、だからこそ、面白がる余裕がそこにはあった。
笑みを浮かべて、楽しそうに返す*]
神隠しって、学校でも起こるものなの?
ああいうのって、なんか、神聖な感じの森とか滝?とか。
そういうトコで起きるものなのかと、思ってた。
(321) 2015/06/19(Fri) 12時頃