―少し前―
ばかだね、いいよお。あたしのことは気にしなくて。
辛いのはあんたでしょお?
[普段の顔を見せたかと思うと、すぐに表情に悲しい色がかかる。ああ、やっぱりどれだけ正しい言葉でピスティオを否定されても、どうしても放ってはおけない。ぽつりぽつりと心中を吐き出す友人の背中を擦りながら、うん、うんと相槌を打つ。
あたしの知っているピスティオはちょっとばかだけど、優しい子だ。今は、ただただ不憫で仕方なかった。]
ノアだって、みんなだってあんたを信じたいんだよ。
なのに説得してくれなきゃ、信じることもできやしないよ。
[あたしだって。と付け足すことはできず。
考え続けろ、という彼の言葉にはゆっくりと息を整えてから答える。]
…わかった。考えるよ。
でもあたし、あんたに負けず劣らずばかだからなあ。期待はしないでよ。
(320) 2018/07/30(Mon) 23時半頃